「よい材料、よい鍛造・熱処理、よい研ぎ」という信条を掲げ、初代・勇が終戦後に立ち上げた製作所。そこから私たち、高村刃物の歴史は始まりました。当時は菜切り包丁と農業用刃物が主な製品でしたが、時代の移り変わりとともに家庭用包丁と本職用包丁の製造が主流になりました。どこよりも早く粉末ハイス鋼・粉末ステンレスハイス鋼といった新素材の包丁の製造を始め、特色のある良い包丁を造るために全行程を一貫して生産しています。

当時はまだ珍しかった、ステンレス包丁の開発に着手したのは50年以上も前のことです。以後、硬度が高く長切れする、いまだかつてないステンレス包丁を数多く発表してきました。さらに近年、より一層、力を入れているのが本職用、つまりプロに向けた包丁です。プロの料理人からの貴重な意見をもとに作られた包丁は、日本以外にドイツ・スウェーデン・オーストラリアなど世界10カ国以上で販売され、世界の有名シェフにも愛用されております。これまで宣伝といったものはほとんどしてきませんでしたが、その切れ味の評判は瞬く間に広がり、私どもの包丁を指名してご購入されるお客様も少なくありません。

最後に、文頭の信条にも挙げた3つの要素。これらがなければ、決してよい包丁にはなり得ません。機械に頼り切ることなく、お客様の目には触れないところにも全身全霊で取り組む。それがニッポンにおける「ものづくり」の精神であり、3人の息子たちを含む、私たち高村刃物製作所の誇りだと思っています。