福井県越前市、当時の府中は平安の世より、北陸の中心部として栄えた国府の地でした。そこに正和3年(1314年)、京都の御用鍛治の名門、千代鶴国安(ちよつるくにやす)が刀剣に適した土地を求めて移住してきます。

刀剣鍛錬の傍ら、国安が想いを込めて作ったのが、池(後の千代鶴の池)に映った三日月をかたどった1本の鎌。それが今日まで続く越前打刃物の起源、三日月鎌でした。

その後、農民の間で「よく切れる」と評判になった越前の鎌は、江戸中期には府中藩の手により“御国産”として振興され、全国に知られるように。以来、越前市内には現在も刃物の製作所が軒を連ね、その伝統と職人の手仕事による確かな技術をいまに伝えています。